的矢湾⇒西浦(日産マリーナ)
2014年5月5日
鳥羽マリーナでの観天望気
曇、東の風、風速3~4m/S、周囲の小高い丘の頂部の枝も多少ユレル程度の風。
しかし、先程海に出かけた漁師が5分程で引き返してきたのでイヤな予感。
朝の6時より起床し天気が荒れる前に伊良湖を越える事が出来れば良いかな?程度の甘い考えで1ポイントリーフ(縮帆)で7時には出艇しました。
入り江から的矢湾に出たとたん風速は13m/S前後になってしまい、湾内はすでに白波が立ち波高は2m程で、1ポイントリーフから2ポイントリーフに変更しました。
湾を出るか迷いつつも、とりあえず湾外に出ると波高は一気に5m、風速も34.9ノット(17m/S)でおまけに雨まで降りだし、今までに経験した事もないような荒天を経験する事になってしまいました。
的矢湾を出てからは座礁を避け陸から離れる為に一路東へ針路をとり、2~3km程沖出しした所で針路を北側(30度)に変更し、神島の東側と伊良湖燈台の西側をねらい機帆走で進みました。
途中、一発大波を2回経験し、ヨットは60度程に傾きましたが、復原力は十分余裕でなんなく無事クリア出来ました。
神島が近づくと風速も24ノット(12m/S)程に落ちてきたので帆走に変えようか迷いましたが、難所である事は間違いない所ですので、そのまま機帆走で進み伊良湖港を右に見える所でエンジンを止め、2ポイントリーフの帆走で帰路につきました。
荒天時のクルージングに対する一考(今回の問題点)
- A.荒天の予想と状況判断
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- 漁師が海に出かけ、5分後には引き返したことを目撃している事から、その時点で出艇は断念すべきであった。
- 的矢湾内で白波と波高2mを確認した時点で引き返すべきであった。
- 的矢湾や熊野灘の地理的特徴として、西側には山脈がある為に西風には強く、東風には弱い傾向がある。よって、低気圧が近づいて来る時の東風には出艇すべきではない。
- 西風の風速13m/sと東風の風速13m/sでは、東風の時には気圧が低いので、波高が西風の時に比べ高くなる事を認識すべきである。
- B.荒天時のヨットと物理学的考察
- 波に打ち勝ち安全に航行する為には、ヨットの動的“力”が波の“力”より強くなければならない。
つまり、F=1/2・mv²(m:ヨットの質量、v:ヨットの速度)この“力”が波の“力”より大きくなければならない。
船が重ければ速力は遅くなるので船は軽い方が良いのだが、ある程度の速力が維持出来るのであれば、波に打ち勝つ為には重量も必要である事が解る。
vは速力であるが、ヨットの速力は水線長に比例する。つまり、当たり前の事だが艇長の長い方(大きいヨット)が速力も出るし、速力は安全航行にもつながることになる。
次に同一水線長のヨットの場合、ヨットの速力は水による抵抗に関係してくる。ヨットの抵抗が少なくなる為には、ヨットが軽くヒール(傾いている)している状態が必要である。
つまり荒天時の航行でなるべく速く航行するのなら、ベアポールを避け2ポイントリーフで良いからセイルを常に上げて軽くヒールさせて走る事が重要であると思われる。 - C.Conclusion(結論)
- 漁師が荒天で引き返すような海に出艇してはいけない。