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飯塚耳鼻科のブログ

ガザイバ、トレアキシンの治療を終え

2021年2月10日

Ⅰ.はじめに

1.2019年(令和元年)10月のとある水曜日の夜に腹部を触っていたら、臍(へそ)を中心に何か触れるものを感じました。翌日に内科に行ってエコー等の検査をしても情報は乏しく診断には至らないのではないかと思い、自分で紹介状を作成し豊橋市の医療センターに行ってきました。その結果、当初は“すい臓癌疑い”でしたが精査するにつれ、すい臓辺りから発生した悪性リンパ腫である事が分ってきました。そこで、悪性リンパ腫であるならば豊橋医療センターより豊橋市民病院の方が良いだろうとの説明で、豊橋市民病院に転院しました。

2.悪性リンパ腫と耳鼻咽喉科との関係について

耳鼻咽喉科は耳鼻咽喉科以外にHead and Neck Surgery(頭頸部外科)という部分も専門として扱い、私が学んできた駿河台日本大学病院では准教授がこの頭頸部を専門にしてきたことから、私自身も入局後は頭頸部癌治療を学んできました。この時、癌固有の抗体を探し出すため、モノクローナル抗体の研究が日本大学でも始まったと思います。

また何十年も前のことなので記憶もあいまいなのですが、実際の治療をしてきて悪性リンパ腫の治療は副作用が多いイメージでしたが、最終的には“何とかなってしまうような癌”という印象です。実際に治療していて、当時は吐き気のコントロールと治療後の低タンパク血症や低アルブミン血症の補正をしていた記憶が有ります。

3.食事療法

以上のことから、自分自身の治療にあたっての食事療法は食事量を増やし、高タンパク高カロリーを如何に持続させるかが問題と思っていました。具体的にはグラム当たりのタンパク量は魚より肉の方が多いので、肉料理を増やしました。また、骨髄内の再生のためにはカルシウムとタンパク質は必須と思い、毎日300ml多い時では1Lの牛乳を飲んでいました。その他に治療中には胃腸障害を起こすこともあり、ヨーグルトと果物、そして季節的に旬だったリンゴはよく食べました。

Ⅱ.最終診断までの経過

1.診断前の2019年7月に行った健康診断

血液検査の異常は無く、腹腔内の内臓腫瘍マーカーもすべて異常は有りませんでした。

2.悪性リンパ腫診断前の症状

2019年10月時点では全く自覚症状は有りませんでした。しかし唯一、臍の周囲に腫瘤を微かに触れるのみでした。そこで、大きな病院に行く決心がつきました。

3.豊橋医療センターでの結果

豊橋医療センターには2019年10月17日と24日に診察が有り、CTスキャンにて腹部に巨大なリンパ腫(21*18*2cm)を認め、血液検査のIL-2レセプターは3800(122~496)と高値であり、これにより悪性リンパ腫の診断が決まりました。ここですぐに豊橋医療センターから豊橋市民病院に転院が決まりました。

4.豊橋市民病院へ転院

豊橋医療センターから2019年10月24日豊橋市民病院血液内科へ転院したところ、追加の検査を次々予定し、特に重要な“そけい部”よりのリンパ節の摘出手術が10月31日に決まりました。これにより病理診断が決まり治療方針も決まります。

5.病理診断

Malignant Lymphoma, Follicular lymphoma, B Cell type 濾胞性リンパ腫

CD20(+)

6.ステージ分類:ステージⅢ

7.CD20 (+)はモノクローナル抗体を表すことから、ここからガザイバという薬の適応が有ることになります。つまり、治療方針としては、抗がん剤+ガザイバという組み合わせになります。私の場合はトレアキシン+ガザイバが治療薬になりました。

Ⅲ.治療

治療は全6クールで1クールは4週間かかり、最初の1クールだけは入院の上治療します。この最初の1クールは初日にトレアキシン、2日目にトレアキシン、初日から7日目にはガザイバ、最後に初日から14日目にガザイバの点滴を行い、1クールは終了となります。2クールから6クールまでは同じ治療で、初日にトレアキシン、ガザイバ、2日目にはトレアキシンのみで終了。4週間に一度治療を行い6クール治療しますので、全行程約6か月になります。私は一応全行程やりましたが、Drは4クールまでやれば良いよと言ってくれました。この言葉で少し気が楽になりました。ちなみに私の場合2クール目のトレアキシンを副作用が強いため1回拒否しました。

Ⅳ.一過性副作用

1.全身の薬疹(中毒疹)

1クール目のガザイバで薬疹が起きてからは、ほぼ毎回薬疹は起きましたが、フェキソフェナジン(60mg)とステロイドの軟膏でコントロールはできました。

2.WBC、血小板等

血液の各種低下は点滴翌日や2~3週に低下しましたが、2週間もすれば自然に正常化しました。

3.悪寒

2クール目の初日の注射後に悪寒、発熱(39度)、薬疹、高血圧等の症状が出現しました。この時の点滴内容はトレアキシン、ガザイバでしたが、翌日になっても高血圧と薬疹や発熱(39度)が有りましたので、翌日のトレアキシンの注射は拒否しました。

3.嘔気、脱毛

点滴による嘔気や脱毛等の副作用は全クールを通して一度もありませんでした。嘔気についてはイメンドカプセルがとても効いたと思います。

4.便秘

イメンドカプセルによって嘔気は無くなったのですが、その代わりに便秘になりました。この症状も酸化マグネシウムにて改善されました。

5.眩暈

2クール目(2019年12月)からめまいが出現してきましたが、起立性調節障害であったので何も薬は飲まずにいました。この眩暈は比較的長く続き、治療終了後2か月ほど経った6月頃まで続きました。

Ⅴ.恒久的副作用

1.高血圧症

治療前の血圧はやや高めで、130~140mmHgだった血圧は、治療中には160~180mmHgになってしまい、時に200mmHgをしばしば超えるようになってしまいました。しかし、現在では降圧剤により正常範囲に落ち着きました。当然のことながら、降圧剤を飲み忘れると、血圧は上昇してきます。

2.免疫力の低下

抗癌剤の副作用と断定できないかもしれませんが、免疫グロブリンは治療を終えて6か月になりますが、Ig-Gとig-Aが低下した状態が続いています。この影響と思いますが、持病の副鼻腔炎がなかなか治りません。

Ⅵ.まとめ

致命的な副作用もなく、治療終了後6か月たった今、完全寛解となり普通に生活できるようになりました。先生や看護師さんと現在の医療の進歩に感謝です。ありがとうございました。一言でいえば、非常に良く効いたと思います。

Ⅶ.終わりに

耳鼻咽喉科を専門にして日本大学で学んできましたが、耳鼻咽喉科に入局間もないころ、頭頸部外科の先輩先生とお酒を飲みながら、先輩先生が行っている研究のモノクローナル抗体について質問したことを思い出しました。その返答として、今私たちが行っている研究が30年後には薬になり、癌を狙い撃ちにできるような薬が開発されるかもしれない。出来ないかもしれないが、研究を続けることが大切なのだと教えられました。まさしく、あの時の研究が実を結んでくれました。

 

2021年2月10日 飯塚直樹

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